マインドフルネスのルーツ 近年注目されているマインドフルネスは、自分の身体や気持ちの状態に気づくための「こころのエクササイズ」です。微生物学者ジョン・カバット・ジン博士(写真右)が、仏教の禅瞑想をもとに提唱した手法として、ストレス対処法の1つとして医療や教育現場で実践されています。 ジン博士が禅瞑想に出会った1960年代のアメリカでは、人間性回復運動、すなわちヒューマンポテンシャル・ムーブメントのトレンドにのって、東洋から禅やヨガ、太極拳などが次々上陸していました。仏教の瞑想に出会ったジン博士はその効果を計測、数値化して、マインドフルネスとして装いを新たに紹介しました。 創生期のブレスワーク 同じころ、西海岸では、ブレスワークが広がっていました。アメリカに伝えられた東洋の精神的な伝統技法に西洋心理学を融合させたブレスワークは、ヨガ、太極拳、アーキパンクチャ(鍼灸)とともに、自然に生命力を高めてウェル・ビーイング(健康)を実現する心と身体のエクササイズとして広く浸透していたのです。 とくにブレスワークは、深い呼吸によってアクティブな瞑想体験が得られ、心身の健康にめざましい好影響をもたらしました。 実のところ、創生期のブレスワークは、現在のようなまとまったひとつの分野ではなく、“リバーシング”、“ブリージング”、“バイオエネジェティックス”などの各技法の名称でそれぞれ呼ばれていました。着眼点や技法の違いによってさまざまな名称が混在しましたが、“呼吸”という共通項で淘汰されていき、1990年代はじめ頃におおよそ“ブレスワーク”に統一されました。 インタグレーション・ブレスワークは、インドのヨガ、日本の神道と禅の技法に、フロイト派およびユング派心理学、人間性心理学の理論が融合した、ナチュラルでハートフルなセラピーとして開発されました。 瞑想の気づきとマインドフルネス状態をさらに高める驚異的効果と、潜在能力の開発、人間的成熟に大きな可能性を秘めているため、ブレスワークは指導者の育成に時間がかかります。しかし、フロイド派精神医学者S.ロフ博士がアカデミックフィールドにブレスワークのトレーニングを開始し、そこにテキサス州の依存症カウンセリングの専門家養成に携わっていたジャクリーン・スモールが協力して、大学および大学院レベルの教育プログラムが整備されました。ヨーロッパ各国、ロシアなど中欧諸国、南北アメリカなど世界各国からプログラム受講者が訪れ、現在はアメリカを中心に世界各地でブレスワーク・プラクティショナーが活躍しています。
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著者ユーサイキア研究所スタッフ アーカイブカテゴリ
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